北朝鮮の射撃選手はなぜアジア大会に出場できなかった?誰のミスなのか・お家芸になった理由も調査

アジア大会2026

2026年9月20日、愛知・名古屋アジア大会の射撃競技で思わぬトラブルが発生しました。

女子10mエアライフルにエントリーしていた北朝鮮の選手たちが、競技に出場できなかったのです。

理由として浮上したのが、日本国内で銃器や弾薬を使用するために必要となる事前手続き。

大会組織委員会の関係者は、北朝鮮が弾薬使用に必要な日本政府の事前承認を得ていないと説明しています。

SNSでは、

「なぜ選手が日本まで来ているのに出場できない?」

「開催国側が事前に確認できなかったの?」

「北朝鮮だから差別されたのでは?」

など、さまざまな声が上がっています。

しかも射撃は、北朝鮮がアジア大会でこれまで金メダル41個を獲得してきた「お家芸」。

メダル候補だった選手が競技以前の問題でスタートラインに立てなかったとすれば、影響は小さくありません。

いったい何が起きたのでしょうか。

今回は北朝鮮射撃代表が出場できなかった経緯と、誰が手続きを担当するのか、そしてなぜ北朝鮮は射撃がこれほど強いのかまで調べました。

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北朝鮮の射撃選手がアジア大会に出場できず

問題が起きたのは9月20日に愛知県総合射撃場で行われた女子10mエアライフルです。

北朝鮮からは、

・パク・ヒョンギョン
・リ・スリム
・キム・ヒョンスク

の3選手が個人戦の出場選手として登録されていました。

ところが競技が始まっても3人は姿を見せませんでした。

会場に用意された北朝鮮選手団の席も空席。

3人の成績を合計する団体戦にも北朝鮮は出場できませんでした。

北朝鮮は今大会の射撃競技に男女各3人、計6人を派遣しています。

なぜ出場できなかった?

聯合ニュースが大会関係者に取材したところ、原因として浮上したのが、

銃器・弾薬を使用するための事前手続き

でした。

射撃の国際大会だからといって、選手が自分の銃や弾薬を自由に開催国へ持ち込めるわけではありません。

大会関係者によると、国際大会では銃器のシリアル番号や弾薬の数量などを開催国側の関係機関へ事前に申告する必要があります。

今回、組織委関係者は北朝鮮について、

弾薬使用に必要な日本政府の事前承認を得ていない

と説明しています。

そのため、選手自身は日本へ来ることができても、競技で使用する銃器・弾薬の問題が解決せず、試合に出場できなかったとみられています。

「北朝鮮が申請し忘れた」とはまだ断定できない

ここは今回の問題で最も重要なポイントです。

「事前承認を得ていなかった」

と聞くと、

「北朝鮮側が必要な申請を忘れたのでは?」

と思うかもしれません。

しかし現時点では、そこまでは分かっていません。

聯合ニュースは、

・北朝鮮側が必要な手続きを完了していたのか
・申請そのものが提出されていなかったのか
・日本政府側が承認しなかったのか

など、詳しい経緯については明らかになっていないと報じています。

一方、韓国射撃連盟は大会の数カ月前に、必要な銃器・弾薬情報を組織委員会へ送っていたとしています。

つまり、射撃競技に参加する各国・地域が事前に必要情報を提出し、それを開催国側の手続きにつなげる仕組み自体は存在していたと考えられます。

現段階で「北朝鮮のミス」「組織委のミス」「日本政府が拒否した」のいずれか一つに決めつけることはできません。

「組織委員会が悪い」は正しい?

SNSでは、

「開催側が確認するべきだった」

という批判が目立ちます。

確かに国際大会の運営という観点から考えると、疑問は残ります。

射撃は銃器や弾薬という厳格な管理が必要な競技です。

しかも北朝鮮は突然エントリーしたわけではありません。

選手名が出場リストに掲載され、日本にも代表団が到着していました。

それにもかかわらず、本番当日になって必要な承認が整っていない状態だったとすれば、

「大会前にチェックできなかったのか?」

という疑問が生じるのは自然でしょう。

ただし、組織委員会だけで承認を完結できる問題ではない点にも注意が必要です。

大会組織委員会、各国・地域のNOCや射撃チーム、日本政府の関係当局など複数の主体が関わる手続きと考えられます。

したがって、どの段階で情報や手続きが止まったのかが明らかにならない限り、組織委だけの責任と断定することもできません。

担当部署はどこだった?

ここも「組織委の○○部がミスした」と単純には言えません。

射撃競技で外国人選手が使用する銃器や弾薬については、大会の競技運営だけでなく、日本国内の法令に基づく行政手続きが関係します。

選手・代表団側から必要情報を提出し、大会組織委員会が競技参加や関係機関との調整を行い、必要に応じて日本政府・警察・税関など関係当局の手続きを経るという複数段階の管理になります。

したがって今回検証すべきなのは、

「誰か一人が忘れたのか」

ではなく、

「必要な承認が取れていることを誰が最終確認する仕組みだったのか」

でしょう。

現時点では、今回の北朝鮮選手団についてどの部署・機関の段階で手続きが止まったのかまでは公表されていません。

どうすれば防げた?

原因がまだ確定していないため、今回のケースに対する具体的な再発防止策も断定はできません。

ただ、国際大会の運営として考えれば、事前確認を何段階か設けることで「当日になって出場できない」という事態を防げる可能性は高まります。

例えば、

①数カ月前
各代表団から銃器のシリアル番号、弾薬量など必要情報を回収

②申請期限
未提出・記載不備の代表団を自動的に洗い出す

③大会数週間前
日本側の必要な許可・承認が完了したか照合

④選手団出国前
未承認案件を組織委と各国NOCへ警告

⑤来日前
「選手・銃器・弾薬・許可」の最終チェック

という仕組みです。

特に重要なのは、

「申請したか」ではなく「承認まで完了したか」を確認すること。

もしこうしたチェック機能が存在していたにもかかわらず今回の問題が起きたのであれば、今後はどの段階で機能しなかったのかを検証する必要があります。

北朝鮮だから「嫌がらせ」された?

Xでは、

「北朝鮮への差別では?」

「意図的な嫌がらせでは?」

という投稿も見られます。

しかし現時点で、それを裏付ける証拠は確認されていません。

北朝鮮と日本の間には外交・安全保障上の特殊な事情がありますが、その事実だけを理由に今回の不出場を「意図的な排除」と結びつけることはできません。

反対に、

「完全に北朝鮮側のミスだった」

ともまだ言えません。

必要なのは、

誰が、いつ、どの情報を提出し、どこで承認が止まったのか

という手続きの時系列です。

ここが明らかになれば、責任の所在もかなり見えてくるでしょう。

今大会では運営トラブルが相次いでいる

今回の問題が注目されている背景には、愛知・名古屋アジア大会でほかにも運営上のトラブルが報じられていることがあります。

大会開幕前後には、

・宿泊施設への入居・チェックインの遅れ
・選手や関係者の登録手続きの混乱
・輸送バスの遅延
・韓国サッカー代表が別競技の会場へ運ばれる
・韓国女子ホッケーの試合前に北朝鮮国歌が流れる

などが報じられました。

そのため今回の射撃問題についても、「また運営トラブルなのでは?」という見方がSNSで強まっているようです。

ただし、それぞれ原因は異なります。

過去にトラブルがあったことだけを理由に、今回も組織委員会のミスだったと判断することはできません。

北朝鮮はなぜ射撃が強い?

そして今回もう一つ気になるのが、

「なぜ北朝鮮は射撃がお家芸なの?」

という疑問です。

北朝鮮はアジア大会の射撃競技で、これまでに金メダル41個を獲得しています。

これは偶然ではありません。

北朝鮮にとって射撃は、長年にわたって国際大会で結果を残してきた伝統的な強豪競技の一つなのです。

北朝鮮初の夏季五輪金メダルも射撃だった

北朝鮮の射撃の歴史を調べると、その強さがかなり古くから続いていることが分かります。

北朝鮮が夏季オリンピックに本格的に参加したのは1972年ミュンヘン大会。

そして、その大会で北朝鮮史上初となる夏季五輪金メダルを獲得したのが、

射撃の李浩準(リ・ホジュン)選手

でした。

男子50mライフル伏射で金メダルを獲得。

つまり北朝鮮にとって射撃は、国際スポーツで国の存在感を示した最初期から成功してきた競技なのです。

アジア大会には伝説的な射撃選手も

北朝鮮にはアジア大会で驚異的な記録を残した射撃選手もいます。

杭州アジア大会の公式プロフィールによると、北朝鮮の徐吉山(ソ・ギルサン)選手は1982年ニューデリー大会の男子ピストル種目で、

金メダル7個

を獲得。

さらに金正洙(キム・ジョンス)選手は1998年から2010年までのアジア大会で、

金4、銀6、銅7の計17個

のメダルを獲得しています。

北朝鮮選手としてアジア大会最多のメダル数です。

このように北朝鮮の射撃には、一世代だけではなく何十年にもわたる競技実績があります。

なぜこれほど強いのか?

ここについては、北朝鮮国内の競技育成システムに関する公開情報が限られているため、断定には注意が必要です。

ただし、いくつかの背景は考えられます。

北朝鮮は国際大会で結果を出せるエリートスポーツを重点的に育成してきました。

射撃はその成功例の一つです。

1972年の五輪金メダルから始まり、アジア大会でも長期間にわたってメダルを獲得。

成功した競技には指導者、施設、選手発掘などのノウハウが蓄積され、次の世代へ受け継がれていきます。

射撃は身体の大きさだけで勝敗が決まる競技ではありません。

精密な技術、姿勢の再現性、集中力、呼吸や心拍への対応などが重要になります。

こうした競技特性と、長年蓄積された選手育成の伝統が組み合わさり、北朝鮮の「お家芸」と呼ばれるまでになったと考えられます。

一方、「軍事国家だから射撃が強い」と単純に結びつける説明には注意が必要です。

軍事訓練と国際競技としての精密射撃は同じものではなく、北朝鮮の競技射撃の強さを軍事化だけで説明できる十分な資料は確認できませんでした。

北朝鮮にとって今回の不出場はかなり痛い?

射撃でアジア大会通算41個の金メダルを獲得していることを考えれば、競技に参加できない影響は小さくありません。

北朝鮮は今回、射撃に男女計6選手を派遣しています。

しかも選手が実際に日本まで来ていながら、競技手続き上の問題でスタートラインに立てないという異例の状況です。

だからこそ、

「なぜ大会前に解決できなかったのか」

という疑問が残ります。

選手本人の競技力とはまったく関係のないところでメダルへの挑戦が失われるのであれば、選手にとって非常に大きな問題です。

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まとめ

今回は、愛知・名古屋アジア大会で北朝鮮の射撃選手が出場できなかった問題について調べました。

北朝鮮は女子10mエアライフルに3選手を登録していましたが、9月20日の競技には出場できませんでした。

大会組織委員会関係者によると、問題となったのは銃器・弾薬に関する日本政府の事前承認です。

ただし現時点では、

北朝鮮が申請しなかったのか、日本側の手続きで止まったのか、承認されなかったのかは明らかになっていません。

そのため「北朝鮮のミス」「組織委の失態」「日本側による意図的な排除」のいずれも、現段階で断定することはできません。

今後最も知りたいのは、

誰が、いつ、何を申請し、どの段階で手続きが止まったのか

という時系列でしょう。

一方、北朝鮮が射撃を「お家芸」とするのには長い歴史があります。

1972年には射撃で北朝鮮初の夏季五輪金メダルを獲得。

アジア大会でもこれまでに41個の金メダルを獲得し、歴代には1大会で7個の金メダルを獲得した選手や、通算17個のメダルを獲得した選手までいます。

だからこそ今回、競技そのものではなく「事前承認」という手続きの問題で選手が出場できなかったことへの関心が高まっています。

組織委員会や関係機関から詳しい経緯が説明されるのか、今後の発表が待たれます。

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