2026年9月2日に神宮球場で行われたヤクルト対阪神戦。
この試合でヤクルト・山野太一投手が阪神・森下翔太選手に投じた、ある1球がX(旧Twitter)で改めて話題になっています。
その球は、
112キロのカーブ。
Xでは、
「ボールゾーンからドローンと入って来たカーブ」
として動画が拡散され、数百万回表示される投稿も出ています。
一見すると大きく外れるように見えながら、最後には捕手のミットへ吸い込まれたこの1球。
いったいどれほど特殊な球だったのでしょうか。
実際の投球データから調べてみました。
山野太一の112キロカーブは森下翔太への決め球だった
山野太一 112キロカーブ🌈
— tanaka13ver2026.2 (@tanaka13ver2026) September 2, 2026
ボールゾーンからドローンと入って来たカーブ pic.twitter.com/ZuPQUVvcPJ
問題の場面は2026年9月2日のヤクルト対阪神戦。
6回表、阪神が2-5と3点を追う場面でした。
1死走者なしで打席に入ったのは3番・森下翔太選手。
山野投手との対戦はカウント2ボール2ストライクとなります。
そして6球目。
山野投手が投じたのが、話題になっている112km/hのカーブでした。
森下選手はバットを出さず見送り。
深谷篤球審はストライクをコールし、森下選手は見逃し三振となりました。
森下翔太への6球を全部調べるとすごさが分かる
森下選手のこの打席を投球データで見ると、山野投手の意図がかなり見えてきます。
6球の内訳は、
1球目 148km/hストレート 見逃し
2球目 112km/hカーブ ボール
3球目 132km/hスライダー 見逃し
4球目 148km/hストレート ボール
5球目 134km/hスライダー ファウル
6球目 112km/hカーブ 見逃し三振
でした。
つまり森下選手は、
148km/h → 112km/h → 132km/h → 148km/h → 134km/h → 112km/h
と、速度帯の異なる球を次々に見せられていたことになります。
最後に最も遅い112km/hのカーブ。
単に「遅い球を投げた」のではなく、速球と変化球を織り交ぜた配球の最後に使われていました。
最速150キロとの速度差は38キロ
さらに驚くのが、その日の山野投手の球速です。
9月2日の山野投手は、
最速150km/h
を計測しています。
一方、話題になったカーブは112km/h。
その差は、
38km/h。
同じ投手から150キロ近いボールが来る可能性を意識しながら、112キロの大きなカーブにも対応しなければなりません。
打者側からすると、かなり難しい投球だったことが分かります。
山野太一のカーブはこの日平均114キロ
さらにこの日の全投球データを見ると、山野投手はカーブを13球投げています。
平均球速は、
114.46km/h
最速118km/h、最遅112km/hでした。
つまり森下選手への決め球112km/hは、この日の山野投手のカーブとして最も遅い部類だったことになります。
13球中、
- 見逃し3球
- 空振り1球
- 奪三振1個
を記録。
その唯一のカーブによる三振が、森下選手への最後の1球でした。
「ボールゾーンから入ってきた」は本当?
Xでは、
「ボールゾーンからドローンと入って来たカーブ」
という表現で紹介されています。
映像を見ると、左腕の山野投手から放たれたボールが大きな弧を描き、外へ逃げるように見えながら最後に捕手のミットへ収まっています。
そのため視覚的には「一度ボールに見えた球が戻ってきた」と感じた人が多かったのでしょう。
ただし、公開されているデータから確認できるのは、
112km/hのカーブがストライクと判定された
というところまでです。
正確な三次元の軌道や、ホームベース上をどの位置で通過したかまで今回確認できる公開データはありません。
そのため、
「完全にボールゾーンからストライクゾーンへ入った」
と科学的に断定することはできません。
映像上、そのように見えるほど大きく変化したカーブだった、と表現するのが適切でしょう。
森下翔太は判定に不満
この1球は、その後の出来事でも大きな注目を集めました。
見逃し三振となった森下選手はその場に立ち止まり、深谷球審に何らかの言葉を発しました。
日刊スポーツは、森下選手がストライク判定に不満を示したと報じています。
その後、深谷球審が森下選手の方向へ歩み寄ろうとすると、次打者の佐藤輝明選手が間に入り、なだめるように制止しました。
試合後、深谷球審も森下選手が判定に不服を示したことは認めています。
一方で、暴言があったことについては否定しました。
したがって、
「森下が暴言を吐いた」
とするのは正確ではありません。
Xでは森下翔太の反応にも賛否
今回ユーザーが示してくれたX投稿では、この場面について別の角度から議論が起きています。
ある投稿では、
「山野太一 112キロカーブ」
として投球そのものを称賛。
一方、別の投稿では、佐藤輝明選手や大山悠輔選手について、
敵チームの選手としては怖いが、選手としては好き
という趣旨の評価をしたうえで、森下選手の審判への反応を批判しています。
これはあくまで投稿者個人の評価です。
森下選手の人間性や選手としての格まで、この1プレーだけで判断できるものではありません。
一方で、
「すごい球を投げられた際に選手がどう反応するか」
という点に注目が集まったことは興味深いところです。
山野太一は阪神打線から9奪三振
この日の山野投手は、この1球だけが良かったわけではありません。
7回を投げ、
123球
被安打2
2失点
9奪三振
の好投。
阪神打線をわずか2安打に抑え、自身初となるシーズン10勝目を挙げました。
ヤクルトの左腕が2桁勝利を挙げたのは、2015年の石川雅規投手以来でした。
まさに今季を代表する投球の一つだったと言えそうです。
初回から阪神打線を3者連続三振
山野投手は立ち上がりから圧巻でした。
1回表、
近本光司
↓
中野拓夢
↓
森下翔太
を3者連続空振り三振。
森下選手はこの日、
1回 空振り三振
3回 2点タイムリー
6回 見逃し三振
9回 併殺打
の4打数1安打2打点でした。
つまり山野投手は森下選手から、この日2つの三振を奪っています。
その2つ目が、話題の112キロカーブでした。
佐藤輝明にも山野の緩急が効いていた
佐藤輝明選手も山野投手の前では苦戦しました。
2回の第1打席では9球粘ったものの、最後は113km/hのカーブを打ち上げて三塁ファウルフライ。
3回は3球三振。
6回も7球目のスライダーで空振り三振でした。
山野投手は佐藤選手にも、
150キロ近い速球
+130キロ台のスライダー
+110キロ台のカーブ
という大きな球速差を使っています。
これを見ると、森下選手への112キロカーブは「たまたま投げた遅球」ではなく、この日の山野投手の投球術を象徴する球だったことが分かります。
それでも佐藤輝明は9回に32号
もっとも佐藤選手は、山野投手が降板した後に意地を見せました。
9回2死。
ヤクルトのウォルターズ投手から、左中間スタンドへ32号ソロホームラン。
この一発で本塁打ランキング単独トップに立ちました。
その意味でも、
山野が佐藤を3打席無安打2三振に抑えた
という事実は、山野投手の好投をさらに際立たせています。
まとめ
2026年9月2日のヤクルト対阪神戦で話題になった山野太一投手の112キロカーブ。
投球データを確認すると、森下翔太選手への6回の決め球は実際に、
112km/hのカーブ
と記録されていました。
山野投手のこの日の最速は150km/h。
最大38km/hもの速度差を作りながら、スライダーやフォークも混ぜる投球で阪神打線から9三振を奪っています。
森下選手はそのカーブを見逃して三振となり、判定への不服を示したことで深谷球審との一触即発の場面にも発展しました。
ただ、あらためて決め球そのものを見ると、SNSで「魔球」のように話題になるのも納得できる1球です。
速い球だけが投手の武器ではない。
150キロを意識させた後に投げる112キロ。
山野太一投手の緩急と制球力が凝縮された1球だったのかもしれません。



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