「ベネズエラのPKだったのに、なぜ日本のPKになるの?」
2026年9月28日に行われたサッカー日本代表対ベネズエラ代表の国際親善試合で、非常に珍しいVAR判定がありました。
1-1で迎えた後半アディショナルタイム。
日本の久保建英選手がベネズエラのペナルティーエリア内で倒されます。
しかし主審の笛は鳴りません。
そのまま試合が続き、今度はベネズエラが一気にカウンター。
日本のペナルティーエリアまで攻め込むと、鈴木淳之介選手が相手選手を倒します。
ここで主審の笛。
判定は、
ベネズエラのPK。
日本にとっては絶体絶命の場面です。
ところがVARが介入。
主審が映像を確認すると、なんとベネズエラのPKが取り消され、
日本のPK
に変更されました。
そして上田綺世選手がPKを決め、日本が2-1で勝利。
ベネズエラ側は猛抗議し、試合後にも混乱が続きました。
一見すると、
「ベネズエラがPKを獲得したのに、どうして日本のPKになるの?」
と思ってしまう判定です。
しかしVARのルールを調べると、この判定が成立する仕組みが見えてきます。
さらに世界のサッカーを調べると、
「一方のチームがゴール→取り消されて反対側のPK」
という、今回以上に衝撃的な事例まで実際に起きていました。
いったい何が起きたのでしょうか。
- 日本対ベネズエラで何が起きた?
- 直後にベネズエラがカウンター
- VARが久保建英の場面をチェック
- ベネズエラのPKが消えて日本のPKに!
- なぜこんなことができるの?
- 「笛が鳴らなかった」こともVARで確認できる
- VARはどこまで遡れる?
- なぜ久保へのファウルが「先」になる?
- 鈴木淳之介のファウルはなかったことになる?
- ただし何をしても帳消しになるわけではない
- ベネズエラ選手が激怒
- ベネズエラ監督も「非常に驚いた」
- でも「VARのせいで日本が得をした」だけではない
- こんなこと過去にもあった?
- 2019年セリエAで「ゴール→取り消し→相手PK」
- SPALは天国から地獄へ
- 2020年プレミアリーグでも発生
- VAR導入以前にはほぼ起こり得なかった光景
- IFABのVAR資料にもまさに同じケース
- 「PK→逆側のPK」はさらに衝撃が大きい
- 久保建英はわざと倒れた?
- 久保建英の「勝つための技術」だった?
- VARが生んだ「時間を巻き戻すサッカー」
- まとめ
日本対ベネズエラで何が起きた?
試合は2026年9月28日、エディオンピースウイング広島で行われました。
日本は後半開始直後に先制されますが、その直後に上田綺世選手が同点ゴール。
1-1のまま試合終盤を迎えます。
そして後半アディショナルタイム。
問題の場面が起こりました。
まず久保建英選手がベネズエラのペナルティーエリアへ侵入。
相手選手と接触して倒れました。
しかし、
主審はノーファウル。
試合はそのまま続きます。
直後にベネズエラがカウンター
ボールを奪ったベネズエラは一気に反撃。
ラミレス選手が日本のペナルティーエリアへ侵入します。
対応した鈴木淳之介選手がラミレス選手を倒しました。
今度は主審が笛を吹きます。
判定は、
ベネズエラのPK。
もし決められれば、試合終了間際に日本は1-2。
敗戦が濃厚になる場面でした。
ところが、ここから状況が一変します。
VARが久保建英の場面をチェック
VARが確認していたのは、
その前に起きた久保建英選手の転倒。
映像では、久保選手の足をベネズエラのヤンヘル・エレラ選手が踏んでいたことが確認されました。
主審はオンフィールドレビューへ。
ピッチ脇のモニターで映像を確認します。
そして最初の判定を変更。
久保選手へのプレーを、
ベネズエラ側のファウル
と判定しました。
ベネズエラのPKが消えて日本のPKに!
その結果、
ベネズエラのPKは取り消し。
そして時間を遡る形で、
日本にPK
が与えられました。
まさに、
ベネズエラPK
↓
VAR
↓
ベネズエラPK取り消し
↓
日本PK
です。
このPKを上田綺世選手が成功。
日本が2-1で劇的な逆転勝利を収めました。
これどう見ても足掛かってるのにベネズエラのPKチェックが異常に長い→逆に日本のPKになってなぜか勝つという珍事。
— カスちゃん (@c299m) September 28, 2026
これはもう生きてる間に見れないw https://t.co/IWIlCfzeDZ
なぜこんなことができるの?
最大の疑問はここでしょう。
「一度ベネズエラにPKが与えられたのに、そこから前のプレーへ戻れるの?」
結論からいうと、
戻れる場合があります。
VARは何でも好きなところまで映像を巻き戻せるわけではありません。
しかし、
得点かどうか
PKかどうか
一発退場かどうか
警告・退場する選手の人違い
など、試合結果を左右する重大な判定についてはVARのチェック対象になります。
今回の場合、
久保選手へのファウルを見逃した可能性
が「PKか、PKではないか」というVAR対象の事象でした。
「笛が鳴らなかった」こともVARで確認できる
ここも重要です。
久保選手が倒れた際、主審は笛を吹いていません。
そのため、
「最初にノーファウルと判断したのだから終わりでは?」
と思うかもしれません。
しかしVARでは、
主審がプレーを続行させた判断もレビューできます。
つまり、
「笛を吹かなかった」
こと自体がVARによって修正される可能性があります。
今回、主審は最初に久保選手への接触を流しました。
しかしVARによって、
「これはPKにすべき反則だった」
と判断が修正されたわけです。
VARはどこまで遡れる?
では、
「VARなら何分でも前まで戻れるの?」
というと、そうではありません。
VARでは、対象となった得点やPKなどにつながる、
攻撃局面(Attacking Phase of Play)
を確認することがあります。
たとえばゴールが決まった場合、
その前に攻撃側がハンドをしていなかったか
ファウルでボールを奪っていなかったか
オフサイドがなかったか
などを確認します。
ただし数分前のまったく関係ないファウルまで延々と遡るわけではありません。
今回の場合は、
久保選手が倒される
↓
ベネズエラがボールを持つ
↓
そのままカウンター
↓
日本PAへ侵入
↓
ベネズエラPK判定
という連続した展開でした。
久保選手の場面からベネズエラのPKまでが非常に近かったため、VARチェックが間に合ったのです。
なぜ久保へのファウルが「先」になる?
サッカーでは、基本的に、
先に成立した反則
によってプレーを戻すことがあります。
今回、久保選手への接触がPKに相当する反則だったと認定された時点で、本来ならそこでプレーは止まり、
日本のPK
になっていたはずです。
ところが主審が反則を見逃したため、現実にはプレーが続きました。
その後ベネズエラがカウンターし、日本側でもPKと判定されるプレーが発生。
しかしVARによって、
「その前に日本へPKを与えるべきだった」
ことが確認されました。
そこで本来の判定へ戻された、という考え方です。
鈴木淳之介のファウルはなかったことになる?
ここも非常に興味深いところです。
ベネズエラ側からすれば、
「鈴木が倒したのは事実だろ!」
と思いますよね。
しかし日本のPKが先に成立することになったため、
ベネズエラのPKという再開方法は成立しなくなります。
久保へのファウルで本来プレーが止まるべきだったため、その後のプレーからベネズエラへPKを与えることはできません。
だから、
「ベネズエラのPKと日本のPKを両方蹴る」
ということにもなりません。
時間的に先だった日本のPKから試合を再開します。
ただし何をしても帳消しになるわけではない
では久保へのファウルの後なら、
「何をやっても全部なかったことになるの?」
というと、それも違います。
たとえばプレーが続いている間に、
暴力行為
著しく危険なプレー
退場に相当する行為
などが発生すれば、VARで元のプレーへ戻ったとしても懲戒処分が残る場合があります。
つまり、
試合の再開地点が戻ることと、選手の危険な行為まで全部消えることは別問題
です。
ベネズエラ選手が激怒
ルール上説明できる判定でも、選手側の感情は別です。
ベネズエラからすれば、
「試合終了間際にPKを獲得した」
と思った直後です。
決めれば勝ち越し。
ところが数分後には、
自分たちのPKが消え、逆に日本のPK。
そしてそのPKで敗戦。
ベネズエラ選手たちは判定に猛抗議しました。
試合終了後にはベンチの選手らもピッチへ入り、主審へ詰め寄る事態になりました。
整列しての挨拶も行われませんでした。
ベネズエラ監督も「非常に驚いた」
ベネズエラのオスワルド・ビスカロンド監督も試合後、判定への不満を表明しました。
自身はベネズエラのPKになると思っていたため、
「非常に驚いた」
という趣旨のコメント。
さらに審判の判定について、チームに対するリスペクトが欠けていたと感じたとも話しています。
ベネズエラ側にとっては、勝利目前と思われた状況から一転して敗戦。
感情的に受け入れにくい判定だったことは想像できます。
でも「VARのせいで日本が得をした」だけではない
今回の場面を見ると、
「VARで日本が救われた」
と表現したくなります。
結果だけを見れば確かにそうです。
しかしVARの考え方として重要なのは、
日本を助けるために時間を戻したわけではない
ということです。
VARの目的は、試合結果に大きく影響する、
「明白な間違い」や「見逃された重大な事象」
を修正すること。
久保選手への接触がPKに相当すると主審が最終判断した以上、
「その後ベネズエラにPKが与えられたから、もう戻れない」
とはなりません。
こんなこと過去にもあった?
では今回のような、
「片方のチームに有利な決定が出た直後、VARで反対側のチームにPK」
という出来事は過去にもあるのでしょうか。
実はあります。
しかも今回以上に衝撃的なケースがあります。
2019年セリエAで「ゴール→取り消し→相手PK」
2019年2月17日。
イタリア・セリエAの、
SPAL対フィオレンティーナ
で非常によく似た出来事がありました。
後半。
SPALがカウンターからゴール。
スコアは2-1になったかと思われました。
ところが主審はVARを確認します。
問題になったのは、
その直前の反対側のペナルティーエリア。
フィオレンティーナのフェデリコ・キエーザ選手がSPALの選手に倒されていたのです。
SPALは天国から地獄へ
VAR確認の結果、
フィオレンティーナのPK
と判定。
すると何が起こったのでしょう。
SPALが決めたゴールは、
取り消し。
そして時間を遡って、
フィオレンティーナのPK
になりました。
つまり、
SPALがゴール
↓
VAR
↓
SPALのゴール取り消し
↓
フィオレンティーナPK
です。
今回の日本対ベネズエラ戦と非常によく似ています。
しかもフィオレンティーナはPKを成功。
SPALからすると、
2-1になったと思ったら1-2になった
という、とんでもない展開でした。
最終的にフィオレンティーナが4-1で勝利しています。
これどう見ても足掛かってるのにベネズエラのPKチェックが異常に長い→逆に日本のPKになってなぜか勝つという珍事。
— カスちゃん (@c299m) September 28, 2026
これはもう生きてる間に見れないw https://t.co/IWIlCfzeDZ
2020年プレミアリーグでも発生
2020年2月22日のプレミアリーグ、
バーンリー対ボーンマス
でも似たことが起こりました。
ボーンマスがカウンターからゴール。
しかしVARが確認したのは、
その前のバーンリーの攻撃。
ボーンマスのアダム・スミス選手にハンドがあったと判断されました。
結果、
ボーンマスのゴール取り消し。
そして、
バーンリーにPK。
ジェイ・ロドリゲス選手がPKを決めました。
またしても、
「自分たちが得点したと思ったら、逆に相手のPK」
です。
片方のチームのPKかと思ったら、ビルドアップ時のファウルまでVARで遡って、逆チームのPKになる事象。プレミアでは2020年2月のバーンリー×ボーンマスの1回しか記憶にない。それくらい珍しい事象(だと思う)。ピースウイングマジック🪄
— 浅野大祐|アッサーノ (@daisukeassano) September 28, 2026
VAR導入以前にはほぼ起こり得なかった光景
今回のような出来事が異様に見える最大の理由は、
VAR以前のサッカーではほとんど見ることのできない展開だった
からでしょう。
主審が久保選手への接触を見逃した。
そのままベネズエラがカウンター。
そしてベネズエラにPK。
VARがなければ、
基本的にはそのままベネズエラのPK
として進んでいた可能性があります。
しかしVARは映像によって、
「その数十秒前に重大な見逃しがなかったか」
を確認できます。
そこでサッカーに、
「一度進んだ時間を判定上だけ巻き戻す」
という現象が生まれるようになりました。
IFABのVAR資料にもまさに同じケース
さらに興味深いことがあります。
サッカーの競技規則を定めるIFABのVAR資料には、
今回と極めて似た状況が想定されています。
簡単にすると、
AチームにPKの可能性
↓
主審は流す
↓
Bチームがカウンター
↓
Bチームがゴール
というケースです。
VARで最初のプレーが明確なPKだったと判断されれば、
Bチームのゴールを取り消し、AチームのPKへ戻す
という考え方が示されています。
つまり今回の日本対ベネズエラ戦は珍しいものの、
VAR制度が想定していない異常な判定ではありません。
むしろVARの仕組みが最も劇的な形で現れたケースといえます。
「PK→逆側のPK」はさらに衝撃が大きい
ただ今回が過去の例より特徴的なのは、
最初にベネズエラへPKが宣告された
ことです。
ゴールが取り消されるケースでも十分衝撃的ですが、
今回は、
ベネズエラPK
↓
日本PK
という、観客から見れば180度逆の判定。
しかも後半アディショナルタイム。
さらに上田選手が決めて、
そのまま決勝点。
ベネズエラ側の怒りが爆発したのも、この劇的すぎる状況が影響したのでしょう。
久保建英はわざと倒れた?
SNSでは久保選手のプレーについて、
「わざと足を残したのでは?」
「踏まれにいった?」
という見方も出ています。
映像を見ると、久保選手とエレラ選手の足が接触しています。
ただし、
久保選手が故意に相手へ足を差し出してファウルを獲得した
と断定できる客観的な根拠はありません。
最終的に映像を確認した主審は、
エレラ選手によるファウル
と判断しています。
久保選手が相手との位置関係を利用してボールを守ったのか、ファウルを受ける状況を作ったのかといった「駆け引き」の評価と、
意図的に反則を作った
という断定は分けて考える必要があります。
久保建英の「勝つための技術」だった?
トップレベルの攻撃選手は、相手選手との位置関係を利用してファウルを獲得することがあります。
相手とボールの間へ身体を入れる。
先にボールへ触る。
相手の進路へ身体を置く。
こうした技術はサッカーでは珍しくありません。
しかし今回について、
「久保が意図的に足を踏ませた」
と本人や審判が説明したわけではありません。
したがって、
「勝つために意図的にPKを作った」
とまで評価するのは現時点では推測になります。
確実なのは、
VAR映像を確認した主審が久保選手への接触をPK相当の反則と判断した
ということです。
ベネズエラのPKから一転、
— ブルーロック&Soccer (@robotadviser1) September 28, 2026
VARの結果、日本にPK‼️🇯🇵⚽️
こういう展開、
なかなか見ないな😳
ただ、映像を見る限り
久保の足を悪意を持って踏んだようには見えない。
それでも久保が大きく反応して、
ファウルを引き出したようにも見える。
これも厳しい世界で戦い続ける選手の…
VARが生んだ「時間を巻き戻すサッカー」
VAR導入によってサッカーは大きく変わりました。
以前なら、
「主審が見逃したら終わり」
だった場面でも、
VARによって修正できるようになりました。
一方で今回のように、
一度PKを獲得したチームが、数分後には逆にPKを与えられる
という、選手や観客が感情的に受け入れにくい場面も生まれます。
判定の正確性を高めるVAR。
しかしその代わり、
「ゴールした!」
「PKだ!」
と思った瞬間にも、
まだ確定していない
という新しいサッカーの風景が生まれました。
まとめ
2026年9月28日に行われた日本代表対ベネズエラ代表。
後半アディショナルタイムに起きたのは、
ベネズエラPK
↓
VAR介入
↓
ベネズエラPK取り消し
↓
日本PK
↓
上田綺世が成功
↓
日本2-1勝利
という劇的な展開でした。
理由は、その直前に久保建英選手がベネズエラのペナルティーエリア内で倒された場面。
主審は当初プレーを続行しましたが、VAR確認の結果、エレラ選手が久保選手の足を踏んだ行為をファウルと判断。
ベネズエラのPKより先に、
日本へPKを与えるべき反則が発生していた
として判定を遡りました。
非常に珍しい光景ですが、VARのルール上は想定されているケースです。
そして世界では過去にも、
2019年SPAL対フィオレンティーナ
2020年バーンリー対ボーンマス
などで、
一方のチームのゴールがVARで取り消され、反対側のチームへPK
という出来事が実際に起きています。
VARがなければ、おそらく見ることのできなかった今回の劇的な逆転判定。
「ベネズエラのPKが、なぜ日本のPKになったのか?」
その答えは、
VARが時間を無制限に巻き戻したからではなく、最初に見逃されたPK相当の反則を正すためだった
ということになります。
そして、そのPKを上田綺世選手が決めて日本が勝利。
サッカーにVARが存在する意味と、その判定が選手の感情に与える難しさ。
その両方が凝縮されたような、極めて珍しい試合終盤となりました。



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