2026年11月4日、日本水泳連盟は、東京五輪の競泳男子200メートルバタフライ銀メダリスト・本多灯(ほんだ・ともる)選手に対し、21カ月(1年9カ月)の競技者登録資格停止処分を決定しました。
本多選手は2025年11月に起こした交通事故で危険運転致傷の罪に問われ、2026年9月に有罪判決を受けています。
今回の処分によって、2028年ロサンゼルス五輪への出場は事実上不可能となる見通しです。
SNSでは「厳しすぎるのではないか」「引退勧告に等しいのではないか」という意見がある一方、重大な事故を起こした以上、厳正な対応は当然だという見方もあります。
では、21カ月という期間はどのように決まったのでしょうか。
事故の経緯や裁判の結果、日本水泳連盟の説明をもとに、今回の処分を検証します。
本多灯選手に21カ月の資格停止処分が決定
日本水泳連盟は2026年11月4日、倫理委員会で本多灯選手の処分を決定しました。
処分内容は、21カ月間の競技者登録資格停止です。
これは単に日本代表から外れるというものではなく、連盟への競技者登録資格を一定期間停止する重い処分です。
処分の効力は、通知書が本人に届いたことを確認してから発生します。
11月4日の報道では、早ければ11月6日から停止期間が始まり、2028年8月上旬まで続く見通しとされています。
このため、2028年4月に予定されるロサンゼルス五輪の日本代表選考会には出場できません。
本多選手にとって、競技人生の大きな目標を失う結果となりました。
ただし、今回の決定は永久追放や正式な引退勧告ではありません。一定期間の資格停止処分である点は区別する必要があります。
本多灯選手は何をした?交通事故の内容
問題となった事故が発生したのは、2025年11月21日です。
本多選手は東京都多摩市内の道路を自動車で走行中、対向車線にはみ出し、向かってきた車と衝突しました。
報道によると、事故現場の制限速度は時速30キロでしたが、本多選手は時速88~108キロで走行していたとされています。
相手の車を運転していた60代男性は、胸骨骨折などのけがを負いました。
この事故について、本多選手は自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の罪で起訴されました。
2026年8月25日の初公判では起訴内容を認め、同年9月9日、東京地裁立川支部から拘禁刑1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡されています。
裁判所は、危険で無謀な運転だったことや、事故の結果が軽くないことを重視しました。
重要なのは、今回の問題が単なる速度違反ではなく、実際に他人を負傷させた重大な交通事故だったという点です。
【判決】競泳・本多灯被告に拘禁1年、執行猶予3年
— ライブドアニュース (@livedoornews) September 9, 2026時速30キロ制限の道路を時速88~108キロで運転して対向車線にはみ出し、向かいから来た車と衝突。被害者側からは「若く、スポーツ選手。頑張ってほしい。強い処罰は望んでいない」との意志が示されていた。 https://t.co/WoX94VbScI https://news.livedoor.com/article/detail/32280345/
なぜ21カ月?日本水泳連盟が処分を決めた理由
今回の処分では、事故そのものの重大性に加え、連盟への報告が遅れたことも重視されています。
① 制限速度を大幅に超過した危険運転
事故現場は制限速度が時速30キロの道路でした。
それに対して、認定された走行速度は時速88~108キロ。
制限速度を大幅に超える運転で対向車と衝突し、相手に骨折などのけがを負わせています。
日本水泳連盟の金子日出澄専務理事も、事故を重大なものとして受け止めていると説明しました。
② 日本水泳連盟への報告が約9カ月遅れた
もう一つの重要な問題が、報告の遅れです。
本多選手は事故を起こした後、日本水泳連盟に速やかに報告していませんでした。
連盟が事案を把握したのは、事故から約9カ月後でした。
日本代表選手には、競技で結果を残すだけでなく、重大な問題が発生した場合に適切に報告し、組織の規則を守ることも求められます。
日本水泳連盟は2026年9月9日の声明でも、事故と起訴の報告に長期間を要したことを重く受け止めていると表明していました。
③ 当初の2年間から3カ月短縮された
実は、日本水泳連盟は当初、2年間の資格停止が相当と考えていました。
しかし、最終的には3カ月短縮し、21カ月となりました。
報道によると、短縮にあたっては次の事情が考慮されています。
- 処分決定までに時間がかかったこと
- 本多選手が国際大会への出場を辞退していたこと
- 被害者が厳しい処分を望んでいなかったこと
- 保険金とは別に150万円を支払うなど、被害者への対応を行っていたこと
- 執行猶予付きの判決だったこと
つまり、連盟は事故の重大性を重く見ながらも、本人に有利な事情をまったく考慮しなかったわけではありません。
ただし、これらの事情を何カ月分ずつ評価したのかという詳細な算定方法までは公表されていません。
21カ月の資格停止は厳しすぎる?賛否を整理
今回の処分については、主に二つの考え方があります。
「厳しすぎる」という意見
21カ月の資格停止は、アスリートにとって非常に長い期間です。
特に競泳では、オリンピックに向けた4年間の競技サイクルが重要になります。
今回の処分は2028年の代表選考会と重なるため、単なる1年9カ月の活動停止以上に大きな影響があります。
本多選手は東京五輪の銀メダリストであり、日本競泳界を代表する実力者の一人です。
本人が反省し、被害者への対応も行っていることから、競技への復帰機会を残すべきだと考える人もいるでしょう。
また、五輪出場が事実上不可能になるほどの処分は、競技者としての将来に大きな影響を与えるという指摘にも一定の理由があります。
「妥当な処分」という意見
一方で、今回の事故は制限速度を大幅に超過した運転によって、実際に人を負傷させたものです。
さらに、連盟への報告が約9カ月遅れたことも問題視されています。
日本代表経験者だからという理由で処分を軽くすれば、ほかの競技者との公平性が問われかねません。
また、競技者として優れた実績を持つことと、重大な違反行為に対する責任を負うことは別問題です。
こうした観点から、厳しい処分を支持する意見も十分に理解できます。
日本水泳連盟はロス五輪を意識して処分を決めたのか?
今回、特に注目したいのが、資格停止期間とロサンゼルス五輪の日程の関係です。
2028年4月には、日本代表選考会が予定されています。
一方、本多選手の資格停止期間は、2028年8月ごろまで続く見通しです。
このため、結果としてロサンゼルス五輪への道が閉ざされることになります。
では、連盟は五輪出場を不可能にする目的で21カ月という期間を選んだのでしょうか。
この点について、金子日出澄専務理事は、代表入りの可能性を理由に特別扱いすることは考えなかったと説明しています。
つまり、連盟の説明では、五輪出場の可否を調整するためではなく、事故の重大性などを踏まえて処分を決定したという立場です。
ただし、処分の結果として五輪出場が事実上不可能になることは、競技者にとって極めて重大です。
そのため、処分の公平性と、選手の競技人生への影響をどう考えるかは、今後も議論される可能性があります。
事実上の引退勧告なのか?
SNSでは、今回の処分を事実上の引退勧告ではないかと受け止める声もあります。
確かに、2028年ロサンゼルス五輪への出場が事実上不可能になる影響は非常に大きいものです。
しかし、制度上の処分と、選手本人の引退は区別する必要があります。
今回決定したのは21カ月の資格停止であり、永久的な競技資格の剥奪ではありません。
停止期間が終了した後、所定の条件を満たして競技に復帰する道まで否定されたわけではないのです。
また、2028年以降の競技活動や引退について、本人が最終的にどのような判断をするかは現時点で明らかになっていません。
したがって、「引退勧告に等しいほど重い影響がある」という評価は成り立ちますが、「連盟が正式に引退を求めた」とするのは正確ではありません。
本多灯選手は謝罪している?本人の対応
本多選手は2026年9月の有罪判決後、自身のSNSで謝罪のコメントを発表しています。
被害者や関係者への謝罪に加え、所属先や日本水泳連盟への報告が遅れたことについても反省を表明しました。
また、報道によれば、被害者には保険金とは別に150万円を支払っています。
こうした対応は処分決定の際にも考慮されました。
ただし、謝罪や被害者への対応を行ったことと、競技団体による処分の必要性は別の問題です。
事故によって負傷した被害者への配慮を第一に考えながら、競技者としての責任と将来の復帰可能性を分けて検討することが重要でしょう。

まとめ|本多灯の処分は重いが、正式な引退勧告ではない
2026年11月4日、日本水泳連盟は本多灯選手に対し、21カ月の競技者登録資格停止処分を決定しました。
その背景には、2025年11月に起こした危険運転致傷事件と、連盟への報告が約9カ月遅れた問題があります。
連盟は当初2年間の停止を相当と考えましたが、被害者への対応や国際大会辞退などの事情を考慮し、最終的に21カ月としました。
この処分によって、2028年ロサンゼルス五輪への出場は事実上不可能となります。
競技者としての将来に極めて大きな影響を与えることは間違いありません。
一方で、制限速度を大幅に超過した運転で他人を負傷させ、有罪判決を受けた事実も軽視できません。
今回の処分を考えるうえでは、事故の重大性、競技団体の公平性、本人の反省と更生、将来の競技復帰という四つの視点を分けて考える必要があります。
21カ月が適切な期間だったかについては議論の余地がありますが、少なくとも日本水泳連盟は、五輪代表入りの可能性を理由に特別扱いしないという方針を示しています。
今後は、本多選手が処分をどう受け止め、競技人生についてどのような決断をするのかが注目されます。
※2026年11月4日時点の報道・公表資料に基づく内容です。


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