岸田文雄首相が新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを今春の季節性インフルエンザなどと同じく原則「5類」に引き下げる方針を明らかにし、2023年1月26日に、その移行日を5月8日とする方針を固めました。引き下げにより、感染者が入院や外来診療を受ける際に原則自己負担が発生することになります。屋外だけでなく、屋内でも原則としてマスクの着用を義務付けない方向で検討がされているようです。ここでは、新型コロナウイルスの背景、「5類」引き下げの検討開始、治療費の自己負担への影響、屋内外でのマスク不要化など、この動きの意味を探っていきます。
新型コロナウイルスの背景
日本では2020年2月に新型コロナウイルスの最初の感染者が報告され、その後段階的に感染が急拡大。2023年1月22日現在、日本で確認されたコロナウイルス感染者は320万人を超え、ウイルスによる死亡者は65,000人以上となっています。
「5類」引き下げの検討開始について
感染症法では、感染症の重症度や流行の危険度に応じて、感染症が「1類」から「5類」に分類されることが定められています。「1類」は感染すると生命の危険リスクのあるエボラ出血熱やペスト、「2類」は重症化リスクや感染力の高い結核や重症急性呼吸器症候群(SARS)、「3類」は場合により生命に影響を与えるコレラや腸チフス、「4類」は主に動物を介して人に感染する黄熱や鳥インフルエンザ、「5類」は国が感染症の発生動向を調査し、必要な情報を提供し発生・蔓延を防止すべきものとして季節性インフルエンザ、性器クラミジア感染症などが該当します。新型コロナウイルスは当初は特性が明らかでなかったため「2類相当」とされましたが、2020年2月に法改正で5つの類型に入らない「新型インフルエンザ等感染症」に位置づけられました(わかりやすい呼称として「2類相当」が使われています)。「2類」は自治体による就業制限や入院勧告などが可能となります。新型インフルエンザ等感染症ではさらに外出自粛や健康状態の報告の要請などの措置ができます。一方、「5類」はこれらの枠外となります。
治療費の自己負担への影響
現在の分類では入院や検査の費用について公費で負担されていましたが、これが「5類」に分類されると、感染者が入院・通院治療を受けた場合、保険適用以外の費用が原則自己負担となります。このため高額な治療薬の費用を患者が負担することも考えられ、受診控えから感染発覚や治療が遅れることも懸念されます。このため国は当面公費負担を継続し、段階的に公費負担を解消する案を検討しています。
「5類」移行は5月8日…屋内外でのマスク着用は自己判断に
政府は新型コロナの位置づけ「5類」移行を5月8日とする方針を固めました。当初は年度替わりの4月1日を検討していましたが、自治体や医療機関が準備する期間を設ける必要があったほか、3月下旬から4月にかけて統一地方選挙が予定されていることに配慮した格好です。
国は今般の分類見直しに合わせて、屋外だけでなく屋内でも原則としてマスクを不要とすることを検討しています。屋内でも、公共交通機関の利用、オフィスや店舗への出入り、大規模なイベントへの参加など、一定の場合を除き、原則としてマスクの着用が不要になります。
1月26日、マスクの着用は屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねるとの新たな方針が出されました。
マスクは本当に不要?「絶対外さない」の声も
新型コロナウイルスが原則「5類」に引き下げられることにより公的制限が減るのと同時にマスクも屋内外にかかわらず原則不要の方向となることからマスクが苦手な方を中心にマスクをつけなくなる人が増えるかもしれません。実際、1月20日~21日にかけて福井新聞社が行ったTwitterアンケート(回答約1400件)で公にマスクを外してOKのサインが出たらマスクを外すか?との問いに「屋外や周囲に人がいないときのみ外す」が51.4%、「症状がない時は外す」29.2%と、8割が状況次第で「外す」と回答しています。一方で「絶対外さない」が19.4%おり、中には「もし外す人が増えるなら、ますます自衛するしかない」と回答する人もいます。
この春、新型コロナ対策は一つの曲がり角を迎えるようです。私はたとえマスク着用が不要といわれたとしても逆につける人が少なくなるなら自衛のために少なくとも人が密集するところではつけないと不安になってしまうと思います。みなさんはどう考えますか?必要と思われる方は今からマスクを買って備えておきましょう!
追記:5月8日となり、「5類」移行となりました。詳しくはこちらをご覧ください。
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